サジー(沙棘)とは


シーバックソーン 学術名シーバックソーン(英語 Sea-buckthorn)はグミ科ヒッポファエ属(Hippophae)の落葉低木の総称。果実は食用になり、最近健康食品として注目されている。ユーラシア大陸の中・北部に広く野生するが、日本には野生せず、北海道などで試験的に栽培されているだけである。名前もシーバックソーン、シーベリー(seaberry)、サジー(中国語:沙棘)、属名のヒッポファエなど様々な名で呼ばれる。代表的な種Hippophae rhamnoidesにはスナジグミ(砂地茱萸)という和名が付けられている。

 普通6種および12亜種に分類される。西はイギリスを含む西欧・北欧から東は中国・モンゴル・シベリア、南はパキスタン・インドの高山まで分布する。特にH. rhamnoidesが西欧から中国西部まで広く分布し、よく利用されている。中国ではこれを用いた砂漠緑化および果実の利用に力を入れている。

 高さは0.5から6m(一部さらに高木になる種もある)で、乾燥した砂地に多い。乾燥と塩分に強いが、日照を要する。寒さにも強いものが多い。西欧ではもっぱら海岸に育つが、中央アジアでは乾燥地に広く分布し、また高山にもある。とげが多く、シーバックソーン(「海のクロウメモドキ」という意味;クロウメモドキにはとげが多い)や沙棘という名はこれによる。葉は緑白色で細長い。雌雄異株で、実がなるには雌雄の樹がともに必要である。果実は橙色または黄色で径6から9mmほどの円い液果。日本に多いグミ属同様、根にフランキア属の放線菌が共生し窒素固定を行うため、やせた土地にも育ちやすい。
シーバックソーンの実
 果実にはビタミンCが豊富で、ビタミンA、ビタミンE、さらに果物としては珍しく油脂を含む。フィンランドなどでは古くからジャムや果実酒などで食用にされており、旧ソ連や東ドイツでは栽培品種の改良が盛んに行われた。甘味もあるが、酸味と渋味が強いためそのまま食べることは少なく、冷凍して渋味を弱めたり、他の果物とともにミックスジュースにしたり、パイ、ジャムや果実酒の材料にすることが多い。

 果肉および種子に油脂が含まれ、ジュースを搾ると上層にはクリーム状および液状の油脂が浮かぶ。これは化粧品に用いられている。特にこの油脂は不飽和脂肪酸が多いこと、抗酸化作用が高いことで注目されている。

 とげが多いため収穫が困難で、枝ごと切って冷凍し実をとる方法、樹からふるい落とす方法、専用の収穫器具を使う方法などがとられている。生け垣にも適し、果実が美しいことから観賞用にもよく栽培される。また砂丘に根を張って安定させる効果があり、やせた塩分の多い土地にも育つので、砂漠緑化にも適するといわれる。

 グミ(Elaeagnaceae)科ヒッポファエ・ラムノイデスは学名Hippophae rhamnoides L.,スナヂグミ(和名) , Sea buckthorn (英名) , 沙棘(中国名)と呼称され,染色体2n=24で,名前のとおり,その自生種は海岸や川岸沿いあるいは高山地帯の砂地に生育し,成長すると樹高2~4mになる棘のある雌雄異株の風媒花植物である。地理的分布は日本には自生しない。

 本植物は現在,H.rhamnoides,H.goniocarpa,H.neurocarpa, H.gyantsensis, H.tibetana,H.salicifolia の6種,そのうちのラムノイデス種は8亜種H.rhamnoides ssp.caucasica,H.rhamnoidesssp.fluviatilis, H.rhamnoides ssp.carpatica,H.rhamnoides ssp.rhamnoides,H.rhamonoidesssp.mongolica,H.rhamnoides ssp.turcestanica,H.rhamnoides ssp.yunnanensis,H.rhamnoidesssp.sinensis に分類される。
写真2
 根には他のグミ科植物と同様に共生窒素固定する放線菌フランキア,Frankia(写真2)が着生する(笹川,2000)。このため痩せ地や土壌流亡防止地帯に植栽される。ヒッポファエは耐寒性が強く,ロシア,中国,カナダ,北欧で栽培されるように寒冷気候に適応している。しかし,耐雪性は弱く,多湿性積雪により枝折れしやすいことが明らかにされている(三笠市大里にある道立林業試験場の苗木で1989年ロシアから導入された実生,光珠内季報,1997)ので,新植地の選定に当たって留意すべき点である。

図2
 植物の生活史は種子の発芽適温が20~25℃にあり,4月中旬に萌芽し,展葉する。葉は柳のように細長く,その裏面は銀灰白色で光沢がある。雌雄異株のため,3あるいは4年目まで株の性判別は難しいが,図2に示すように♂雄株の芽は6-8苞に囲まれて♀雌株より大きく,他方♀雌株は2苞のみに覆われている。

 5月上旬の開花期に風の媒介により,受粉して黄橙色の小果実(1果重0.4~0.9g)が8月中旬以降に着生する。♂と♀の混植割合が結実収量の鍵を握る。種子は播種した後,4または5年目に結果樹齢に達し,生産力の上がる盛果期は7~8年目で,収量は3~10kg/株になる。1ha 当たり千本植えでは10 収穫可能である。
図3
 一般に樹の寿命は30年とされる。収穫適期は8月上旬(早生品種)から10月中旬(晩生品種)にわたる(図3)。果実は果梗に離層を形成しないので,自然落果はほとんどなく,翌春まで枝に着生するが,果柄長が5㎜前後と短く手作業による収穫労力がかかる。9月中旬に芽は休眠期に入るが,落葉は10月中旬ころから始まる。

 果実には卵形の種子が1個含まれ(図4),その果肉・種子はビタミン類(C,E,B1,B2,K)と油脂(カロチノイド,高級不飽和脂肪酸)に富む(表1)。五訂日本食品標準成分表(資源調査会編,2000)によると種子油中ビタミンE含量は最高値ヒマワリ油の2倍余り,ビタミンC含量はアセロラ果実1700㎎/100gに次ぐ値を示す品種もある。このようにヒッポファエは機能性や栄養価が高いため,世界中で多種類の医薬品・化粧品・食品が開発されている。


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